車を持たずにカーシェアを利用するスタイルが、都市部を中心に広がりつつあります。
維持費や駐車場代などの負担が軽減されるため、「節約になるならカーシェアで十分では?」と考える人も少なくありません。
しかし、実際にカーシェアが向いている人と向いていない人では、生活スタイルや価値観に大きな違いがあります。
この記事では、カーシェアを選ぶうえで重要な「相性」について、具体的な特徴とともに解説していきます。
カーシェアが向いている人とは?
車の使用頻度が低い人
月に数回しか車に乗らない人にとって、カーシェアは非常に効率的な移動手段です。
自家用車を所有すると、たとえ乗らなくても税金や車検代、保険料、駐車場代、メンテナンス費用がかかります。
一方でカーシェアなら、必要なときだけ料金を支払えばよく、使わない期間は一切費用が発生しないため、費用対効果の面で非常に優れています。
たとえば、週末の買い物や月数回の通院、習い事の送迎など「限定的な使用」が前提の人には理想的なサービスです。
公共交通が整った都市部に住んでいる人
都市部では電車やバスが発達しており、通勤や通学など日常の移動手段に困ることはあまりありません。
そのため、車がなくても生活に支障がないケースが多くなります。
加えて、駅前や住宅地近隣にはカーシェアのステーションが数多く設置されており、スマホ1つで予約してすぐに使える利便性があるため、「たまに車を使いたい人」には最適な環境です。
駐車場代が高騰している都市部では、自家用車を所有するメリットが減少しており、カーシェアがより現実的な選択肢となっています。
コスト意識が高く、無駄な出費を避けたい人
毎月の固定費をなるべく削りたいと考えている人にとって、カーシェアは重要な節約手段になり得ます。
仮に月に1万円未満の使用頻度であれば、所有するよりもずっとコストが低く抑えられます。
「車は必要だが、常に持っている必要はない」と合理的に考えられる人にとって、所有という形にこだわらないカーシェアは、経済的にも理にかなった選択といえます。
駐車場確保が困難・高額な地域に住んでいる人
特に東京都心や大阪の中心部など、月極駐車場が月2万円以上する地域では、駐車場代だけでも大きな負担となります。
カーシェアはステーションに車が常駐しており、契約時にその費用が利用料金に含まれているため、駐車場を自分で探す・契約する必要がありません。
そのため、自宅周辺で駐車スペースを確保できない人や、車の置き場を理由に所有を諦めていた人にもおすすめです。
目的に応じて車種を柔軟に選びたい人
自家用車では1台の車で全ての用途をこなさなければなりませんが、カーシェアではその都度用途に合わせて車種を選べるのが特徴です。
たとえば、買い物や街乗りではコンパクトカー、家族旅行や大人数での移動にはミニバン、アウトドアにはSUVなど、その日の予定に応じて柔軟に選べる点は大きな利点です。
ライフスタイルの多様化に対応できるという意味でも、現代的な選択肢といえます。
スマートフォンの操作に慣れている人
カーシェアの多くはアプリを使って予約・施錠・解錠を行います。
そのため、スマホの操作に不慣れな人にとってはややハードルが高いですが、逆にスマホの操作に抵抗がなく、アプリを使い慣れている人にとっては、非常にスムーズで便利なサービスです。
深夜や早朝の利用でも、対面手続きなしで使えるのは、日常の自由度を高めてくれます。
車のメンテナンスや管理が面倒だと感じる人
自家用車を所有すると、定期点検・オイル交換・タイヤ交換・洗車など、車を維持するための手間と時間がかかります。
一方でカーシェアは、利用者が車両の管理をする必要がなく、常に整備された状態の車を使えるという利点があります。
忙しい人や、車の整備に知識がない人にとっては、この手軽さが大きな魅力です。
突発的な用事に車が必要になることがある人
急な買い出しや、子どもの送迎、天候不良で電車が止まったときなど、普段は不要でも突然車が必要になるケースはあります。
カーシェアは即時予約が可能で、近くのステーションに車があればすぐに乗ることができるため、突発的な需要にも柔軟に対応できます。
「備え」としての選択肢としても、カーシェアの存在は心強いといえるでしょう。
カーシェアが向いていない人とは?
車をほぼ毎日使う人
日常的に車を利用する人にとって、カーシェアはコスト面・利便面ともに不向きです。
たとえば通勤や子どもの送り迎え、業務利用などで毎日決まった時間に車を使う人は、予約の手間や使用時間の制限、他人とのシェアによる利用制限がストレスとなりがちです。
毎日使うなら、月額固定費がかかっても自家用車の方が結果的にコストパフォーマンスが良い場合があります。
車が生活の中心にある地方在住者
地方では、電車やバスといった公共交通機関が不便なエリアが多く、ちょっとした買い物や通院にも車が必須です。
また、カーシェアのステーション自体が設置されていない地域もまだまだ多く、そもそも選択肢として成り立たないこともあります。
こうした生活環境では自家用車を所有することが現実的な選択となるケースが大多数です。
突発的かつ長時間の利用が多い人
思い立ってすぐに出かける、かつその移動が長距離または長時間になるケースが多い人には、カーシェアの時間制料金や距離料金が負担になります。
特に利用時間が長くなると、1回の利用で数千円~1万円を超えることもあり、自家用車のガソリン代だけで済む感覚とは大きく異なります。
「自由気ままに使いたい」人にとっては制限が多いと感じるでしょう。
車にこだわりがある人
運転する車のタイプや装備、安全性などに強いこだわりを持っている人には、カーシェアの車種ラインナップでは満足できないことが多いです。
車内の清潔さやニオイの残留など、前の利用者の使用状況が影響するため、「自分だけの空間」や「常に一定の品質」を求める人には、カーシェアの不安定さがストレスになりやすいです。
複数人で長時間移動することが多い人
家族での週末旅行や、友人と遠出を頻繁にするようなスタイルの人には、カーシェアはコストが割高になりやすいです。
特にミニバンやSUVなど大型車のカーシェアは台数が限られており、予約の取りづらさや、長距離利用による高額請求の懸念もあります。
グループでの移動が頻繁なら、自家用車の方が安心して使える傾向にあります。
時間や手続きにルーズな人
カーシェアは「返却時間の厳守」が基本です。時間を過ぎると延長料金が発生したり、次の利用者に迷惑をかけることになります。
さらに、利用前の予約や、使用後の車内清掃・確認など、一定のルールを守る姿勢が必要です。スケジュール管理が苦手な人、返却時に気を遣いたくない人にとっては、むしろストレスが増える可能性があります。
荷物を車に積みっぱなしにしたい人
日常的に車内に私物を保管したい人(チャイルドシート、ベビーカー、レジャー用品、仕事道具など)には、カーシェアは不向きです。
利用のたびに荷物を出し入れする必要があり、忘れ物や持ち運びの手間が増します。
「車が生活の延長」になっている人にとっては、所有の安心感が大きな価値となるでしょう。
スマホ操作に不慣れな人や高齢者
カーシェアの予約・施錠・解錠・延長などの操作はほとんどがアプリ経由で行われます。
スマホに慣れていない人、機械操作が苦手な人、高齢者にとっては、「乗るまでの手続き」がハードルになります。
また、トラブル時の対応も基本的に電話やアプリでのサポートとなるため、サポートのハードルも感じやすくなります。
自分でメンテナンスやカスタマイズをしたい人
車の整備やカスタマイズを趣味とする人にとって、カーシェアの車は自由度がまったくありません。
パーツの変更やインテリアの装飾は当然できず、「所有して自分好みに育てたい」という車への愛着がある人には、無機質に感じてしまうかもしれません。
カーシェアは万能ではない。生活スタイルに合わせて選ぶのが最適解
カーシェアは、コストや利便性の面で非常に優れた選択肢に見えますが、誰にとってもベストな手段というわけではありません。
通勤や買い物など日常的に車を使う人には自家用車の方が安心で効率的ですし、一方で週末しか使わない都市部の人にとっては、カーシェアが最適解となり得ます。
大切なのは、「どの程度・どんな使い方で車が必要なのか?」という自分自身の生活スタイルを見つめ直し、それに見合った手段を選ぶことです。
節約目的であっても、利便性やストレスの少なさなど、費用以外の視点も踏まえて総合的に判断しましょう。