子どもの登下校中の安全確保や緊急時の連絡手段として、スマートフォンの所持を検討する家庭が増えてきました。
しかし、新品のスマホを契約するとなると、端末代や通信費がかかり、家計への負担が無視できません。
そこで注目されているのが、家庭内に余っている古いスマホを子ども用に再利用する方法です。
この方法は、コストを抑えながら子どもの見守りや連絡手段を確保できる手段として注目されていますが、一方で注意すべきポイントやリスクもあります。
本記事では、古いスマホを小学生の子どもに持たせる際のメリットとデメリット、実際に使うためのチェックポイントなど、具体的に解説していきます。
もくじ
古いスマホを小学生に持たせるのはアリ?
スマホの低年齢化が進む中で、小学生にスマホを持たせるべきかどうかは、多くの家庭で悩ましいテーマです。
防犯や連絡手段としての必要性を感じつつも、「高価なスマホを持たせるのは不安」「まだ早いのでは」という声も少なくありません。
そんな中、親が以前使用していた古いスマホを再利用して子どもに持たせるケースが増加しています。
これは初期費用が抑えられる点で非常に実用的な方法ですが、使うにあたっては条件やリスクの理解が不可欠です。
古いスマホを子どもに持たせる主なメリット
子どもにスマホを持たせるとき、新品を買い与えるのは費用面やトラブルのリスクが心配という声も少なくありません。
そこで注目されるのが、家に眠っている古いスマホを再活用する方法です。
コストを抑えつつ、安全面や使い勝手にも配慮できるため、多くの家庭で実践されています。
以下では、その主なメリットを詳しく紹介します。
初期費用がかからない
最大のメリットは端末代が無料で済むことです。一般的に新品のスマホを購入すると、安くても1~3万円、高機能な機種だと5万円以上が相場になります。
しかし、すでに家庭にある使わなくなった古いスマホであれば、新たな出費なしで端末を用意できます。
これは子どもが小学生や中学生など、初めてスマホを持たせる段階では特に大きな利点です。
親が操作に慣れているため教えやすい
親自身が以前に使っていたスマホなら、設定方法やトラブル時の対処にも慣れています。
子どもに教えるときもスムーズで、万が一の故障や不具合にも柔軟に対応可能です。
また、どのアプリを使うべきか・不要な機能をどう制限するかといった管理もしやすく、子どものスマホデビューに適した条件が整いやすくなります。
故障や紛失のリスクがあっても精神的ダメージが少ない
子どもが使う以上、落とす・壊す・なくすといったトラブルはある程度想定しておく必要があります。
そうした場合でも、すでに使わなくなった古いスマホであれば精神的にも経済的にもダメージは少なくて済むのがポイントです。
万が一の備えとして「壊れても惜しくないスマホ」を使うという選択は、実用性と安心感を両立した方法と言えるでしょう。
アプリや設定の自由度が高い
キッズ向けの専用GPS端末やフィーチャーフォンでは、アプリの追加やカスタマイズに制限がありますが、古いスマホであれば必要なアプリ(LINE、地図、カメラなど)を自由にインストールできます。
加えて、AndroidやiPhoneのペアレンタルコントロール機能も活用できるため、使わせたくないアプリのブロックや、使用時間の制限なども柔軟に行えます。
古いスマホを使う際の確認ポイント
古いスマホを子どもに持たせる際は、単に電源が入るかどうかだけで判断するのでは不十分です。
使用開始前に必ず確認しておきたい項目がいくつかあります。
安全性や通信環境、利便性を確保するためにも、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
1. バッテリーの劣化状態
古いスマホの最大の懸念点がバッテリー劣化です。
長期間使用・放置されていた端末は、バッテリーが膨張していたり、すぐに充電が切れてしまうことがあります。
モバイルバッテリーの常備で一時対応は可能ですが、あまりに持ちが悪いようならバッテリー交換や端末の再検討が必要です。
2. OSとアプリの対応状況
古すぎる端末は、OS(iOS・Android)のアップデートが終了しており、セキュリティ的にもリスクが残ります。
また、LINEや防犯アプリなどの最新版がインストールできなかったり、正常に動作しないことも。最低でもAndroid 9以降、iOS 13以降の環境が望ましいとされています。
3. SIMロックの有無と通信契約
端末によってはキャリアによるSIMロックがかかっている場合があります。
格安SIMを利用するなら、SIMロック解除が必要です。
Wi-Fi専用端末として使うならSIMは不要ですが、屋外での連絡用途には通信契約が必要になります。
格安SIMなら月額500〜1,000円程度でも利用できるため、子どもの使用状況に応じて選びましょう。
4. GPSやカメラ、通話機能の動作確認
子どもに持たせる以上、GPS機能やカメラ、通話機能などの基本操作が正しく動くかどうかを事前に確認しておく必要があります。
例えば、位置情報がずれたり、カメラが曇っていたり、マイクが不良で通話ができないケースもあります。
最低限の動作確認は親が一度試しておくことが安心につながります。
5. ストレージ容量とアプリ使用可能領域
古いスマホはストレージ容量が少ないことも多く、すぐにアプリがインストールできなくなったり、写真が保存できないなどの制限が出ることがあります。
必要最低限のアプリと、写真・動画の自動クラウド保存(Googleフォトなど)を設定するなど、工夫が必要です。
6. ペアレンタルコントロール設定
親が安心してスマホを持たせるためには、使用制限や閲覧制限などの管理機能を設定しておくことが不可欠です。
Androidでは「ファミリーリンク」、iPhoneでは「スクリーンタイム」などの機能を使えば、使用時間の制限やアプリの制御が可能になります。
初期設定の段階で導入しておくと安心です。
7. 緊急連絡用としての設定確認
学校や習い事先からの連絡手段として使うなら、連絡先の登録や、緊急時の通話設定(SIMの有無に応じた設定)も忘れずに。
Wi-Fi専用の場合はLINE通話などIP通話手段が必要になりますが、通話できる範囲や電波状況も事前に確認しておきましょう。
「連絡専用端末」としての活用に向いている
古いスマホは、ゲームやインターネットの利用を目的とせず、「連絡専用端末」として活用するには非常に適した選択肢です。
小学生の子どもにとって、スマホの最大の役割は「保護者との連絡手段」。
その点においては、最新機種である必要も、大容量のストレージも不要で、古いスマホでも十分な機能を果たします。
Wi-Fi環境があれば無料で通話も可能
自宅や学童、塾など、Wi-Fi環境がある場所なら、LINE通話やGoogle Duoなどの無料通話アプリで連絡が可能です。
SIM契約が不要なため、毎月の通信費をかけずに連絡手段を確保できます。
通話音質も安定しており、保護者のスマホと連携させておけば、着信通知などもスムーズです。
GPS機能で居場所確認も可能
古いスマホでも、GPSが正常に動作すれば「今どこにいるか」が把握できるため、子どもの安全確認に役立ちます。
Googleの「ファミリーリンク」や「iシェアリング」「Life360」などの見守りアプリを使えば、リアルタイムで位置情報が確認できます。
スマホだからこそ、GPS専用機にはない多機能性も魅力です。
通話SIMを使えば屋外でも利用可
もう一歩踏み込んで、格安の通話SIM(音声通話付き)を契約すれば、屋外でも電話が使えるようになります。
例えば、IIJmioやmineo、OCNモバイルONEなどでは月額1,000円台で通話・SMS付きSIMが利用可能。
格安SIMでも問題なく使えるよう、古いスマホのSIMロック解除は忘れずに行いましょう。
トラブル時の「安心感」につながる
通学中やお迎えのタイミング、習い事先での待機中など、予期せぬトラブルや緊急時に連絡が取れる手段を持たせておくことは、子どもだけでなく親にとっても安心感につながります。
連絡が「できない」という不安をなくす意味でも、スマホの連絡専用化は非常に有効な選択です。
ゲームやSNSの制限でトラブル予防
古いスマホにおいては、あえて不要なアプリをインストールせず、必要最小限の連絡用アプリのみを入れておくことで、スマホ依存やトラブルの芽を防ぐことができます。
ファミリーリンクやスクリーンタイムを活用すれば、親がインストール制限や使用時間の管理も可能です。
コストをかけずに「スマホデビュー」
最新のキッズスマホを買うには、端末代+通信費で年間数万円の出費が必要になることもありますが、手元にある古いスマホを再活用するだけなら、初期費用もほぼゼロでスマホデビューが可能です。
使用目的が「連絡」に限られるなら、これほど合理的な選択肢は他にありません。
一方で注意したいリスクと課題
古いスマホを子どもに持たせることには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのリスクや課題にも注意を払う必要があります。
特に、小学生のような年齢層に使わせる場合、保護者側がしっかりと設定・運用管理を行わないと、トラブルや誤使用の原因になることもあります。
端末の動作不良・バッテリー劣化
古いスマホは経年劣化が進んでおり、起動の遅さやアプリのフリーズ、タッチの反応不良などが発生する可能性があります。
また、バッテリーの持ちが悪くなっているケースも多く、連絡用に使おうとしても、いざという時に電源が切れていて役に立たないことも。
使用前には一度、バッテリー交換や初期化などの整備を検討するべきです。
セキュリティの脆弱性
古い端末の多くは、すでにOSのサポートが終了しており、最新のセキュリティアップデートが受けられないという大きなリスクを抱えています。
この状態でWi-Fiやネット接続を行うと、ウイルス感染や不正アクセスの危険性が高まります。
必要なアプリ以外は極力インストールせず、通信制限をかけておくのが安全策です。
フィルタリングやペアレンタルコントロールの制限
子どもの安全なスマホ利用には、有害サイトのブロックや利用制限アプリが不可欠ですが、古いスマホではファミリーリンクやiOSのスクリーンタイムなどが正常に動作しない場合があります。
特にAndroid端末ではOSのバージョンによって、保護者管理アプリが対応していないケースもあるため、利用前に確認が必要です。
誤操作によるアプリ課金や通話トラブル
スマホに慣れていない子どもは、意図せずアプリ内課金を行ったり、誤って知らない番号に通話をかけてしまったりすることもあります。
Googleアカウントの課金設定やアプリ購入のパスワード制限、連絡先の制限登録などを行い、トラブルの予防策を講じておくことが重要です。
紛失・破損のリスク
子どもが扱う以上、端末を落としたり、水に濡らしたりして故障させてしまうリスクは常にあります。
高価な端末でないとはいえ、代替機がなければ連絡手段を失うことにもなりかねません。
耐衝撃ケースや防水ケースを活用したり、ストラップを付けて携帯性を高めるなどの工夫も必要です。
学校・施設によっては持ち込み禁止
一部の小学校や塾では、スマートフォンの持ち込み自体が禁止されているケースもあります。
GPSとして使いたい場合でも、所持を禁止されていれば使用できません。
事前に学校や施設側のルールを確認し、持ち込み許可の可否を確認しておくことが欠かせません。
「スマホ依存」の入り口になる可能性
古いスマホとはいえ、自由に使える環境を整えてしまうと、ゲーム・動画・SNSへのアクセスが習慣化してしまうリスクもあります。
特に小学生は自己管理が難しく、つい長時間利用してしまいがちです。
「何のために使わせるか」という目的意識を保護者が明確にし、用途限定で渡すことが肝心です。
結論:条件を満たせば「アリ」だが、親の管理が不可欠
古いスマホを小学生に持たせることは、コスト面で大きなメリットがあります。
ただし、事前準備と適切な制限がないと、依存・トラブルの原因にもなりかねません。
「必要最低限の機能に限定して使わせる」「ペアレンタルコントロールを必ず設定する」「定期的に親がチェックする」など、親の関与が不可欠なことを忘れないようにしましょう。
古スマホを子どもに持たせる判断は「目的と準備」がカギ
古いスマホは、うまく活用すればコストを抑えて子どもの安全確保に役立つ「連絡専用端末」として機能します。
GPS機能や最低限の通話・メッセージアプリだけを使用するよう設定すれば、小学生にも安心して持たせられる環境が整えられます。
しかし、インターネットやSNSへのアクセス制限、使用アプリの管理、学校での使用ルールなど、親の配慮が不可欠です。
また、バッテリー劣化や対応OSの古さなど技術的な問題も無視できません。
家庭にある古スマホを「節約ツール」としてだけでなく、「安全確保の一環」としてどこまで使えるかをしっかり見極めることが大切です。