家計を支える上で「お肉」は欠かせない食材のひとつですが、最近では物価上昇が続き、国産肉はなかなか手が出しづらいという声も増えています。
そんな中、スーパーでは外国産の安価な肉が目立つようになり、
「値段は魅力的だけど、なぜこんなに安いの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
本記事では、外国産の豚肉・鶏肉・牛肉が安い理由を詳しく解説し、さらに代表的な産地の特徴や、スーパーで実際に見かける価格帯についてもご紹介します。
お得にお肉を買うためのヒントとして、ぜひチェックしてみてください。
もくじ
コスパ最高!安い肉のスーパーでの価格はどのくらい?
大手スーパーでも、安い外国産の肉を取り扱うケースが増えています。
実際にどのくらいの価格で売られているのかと言うと、
- 豚肉小間切れ:98円~
- 豚バラ:138円~
- 鶏モモ・ムネ:68円~
- 牛バラ:168円~
*全て100g辺りの価格
国産のこれらの肉は、概ね倍程度~それ以上の価格帯となっている場合が多く、かなりの価格差があります。
とは言え、安くてコスパは確かに良いですが、何でこんなに安いのでしょうか?
その理由を深堀りしてみましょう。
これを見れば、外国産の肉に不安を感じている人でも、それが払しょくされるでしょう。
外国産の肉が安い理由
安さの理由は、単に「外国産だから」ではなく、労働力・飼料・土地・大規模経営・貿易政策など、様々な経済的な背景があるためです。
日本国内の畜産業は高品質・安心感で競争していますが、コスト的には海外に比べて不利な面が大きいのが実情です。
生産コストの差が日本とは別格
人件費が安い
アメリカ、カナダ、ブラジル、タイなどは、日本に比べて人件費が低い国が多いです。
畜産は人手がかかるため、このコスト差が大きく影響します。
飼料費が安い
飼料(トウモロコシ、大豆かすなど)は、輸出国の多くが自国で大量生産しています。
結果として、飼料のコストが日本より低く抑えられます。
日本は飼料の多くを輸入に頼っているため、国内生産は高コストになります。
土地・設備費が安い
外国では広大な土地を活かして効率的に畜産が行えるケースが多く、施設費用なども日本より低コストです。
規模の経済が別格・大規模な畜産経営
特にアメリカ、カナダ、ブラジルなどは、非常に大規模な畜産事業を展開しており、大量生産によるコストダウンが可能です。
これにより単価を大きく下げられます。
為替と貿易政策の違い、円高・円安の影響
為替の動きによって輸入品の価格は変動しますが、これまでの長期的な傾向としては外国産が日本国内産より割安な価格帯で推移してきました。
自由貿易協定(EPA・FTA)
日本は多くの国と経済連携協定(EPA)などを結んでおり、関税が引き下げられている品目もあります。
これが価格をさらに抑える要因となっています。
品質・規格の違い
品質グレード
外国産は日本の消費者の好みに必ずしも合わせていないケースがあり、赤身が多い・脂身が少ないなどの特徴があります。
一方、国内産はより細かく品質管理され、柔らかさ・旨味などで差別化されているため、その分価格が高めです。
輸送・冷凍
輸入肉は冷凍品が多く、新鮮さが多少落ちることもありますが、そのぶん価格は抑えられます。
国内保護政策の違い
日本国内の畜産業者は補助金などで支援されていますが、それでも高い生産コストは補えず、結果的に高価格が続きます。
豚肉の代表的な産地と特徴
アメリカ合衆国
アメリカは広大な農地と効率的な畜産システムを持ち、穀物肥育が主流。
豚は比較的短期間で成長させ、コスト削減を重視しています。
日本向けは赤身が多めで、脂肪が少なめのカットが多いです。脂の甘さは国産品より控えめ。
- 食感・味: ややしっかりした肉質で、豚特有の旨味はあるがあっさりとしています。
- 用途: とんかつ、炒め物、加工食品(ベーコン、ソーセージ)など。
カナダ
日本向けの輸出に力を入れており、高い品質基準で知られています。
脂と赤身のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れています。
飼料もカナダ産の穀物が主体。
- 食感・味: やわらかめでジューシー。国産に近い風味を持ち、日本人の味覚に合いやすいです。
- 用途: とんかつ、しゃぶしゃぶ、焼肉など幅広く利用。
デンマーク
ヨーロッパの伝統的な養豚国。
衛生管理や動物福祉基準が厳しいことでも知られています。
冷凍輸入が中心。
- 食感・味:やや硬めで淡白な味わいが特徴。脂身は控えめ。
- 用途:ハムやベーコンなど加工品向けが多い。
メキシコ
近年、日本向けの輸出が増加。
高温な環境下でも安定生産しており、価格競争力があります。
- 食感・味:ややしっかりとした歯応えがあり、さっぱりとした味わい。
- 用途:炒め物、煮込み料理向け。
鶏肉の代表的な産地と特徴
ブラジル
世界最大級の輸出国で、日本市場のシェアも圧倒的。
広大な敷地と温暖な気候でのびのび育てられ、大量生産でコストが抑えられています。
冷凍品が主流。
- 食感・味:淡白でクセが少なく、どんな料理にもなじむ万能タイプ。
- 用途:唐揚げ、焼き鳥、チキンステーキなど。
タイ
日本向けに加熱加工済み品(例:チキンナゲット、焼き鳥串)を多く輸出。
衛生管理が非常に厳しく、品質が高い。
- 食感・味:柔らかく、味のクセが少ない。加熱加工品は日本の基準に合わせて作られています。
- 用途:冷凍惣菜、チキンナゲット、冷凍お弁当用食品。
中国
加工品中心の輸出ですが、食品安全問題から輸入制限がかかることもあります。
コストは最安値クラス。
- 食感・味:可食部は基本的に柔らかく、クセは少ないが、加工品が多いため純粋な生肉の輸入は少なめ。
- 用途:冷凍加工食品、業務用惣菜。
アメリカ合衆国
冷凍の手羽先・手羽元などが中心。
需要が限られており、加工品として入ることが多い。
- 食感・味:しっかりした歯応えと脂のコクが特徴。
- 用途:バーベキュー、唐揚げ、スープ。
牛肉の代表的な産地と特徴
オーストラリア
牧草(グラスフェッド)で育てる牛が多く、低脂肪・高たんぱくのヘルシー志向。
日本では牛丼チェーンや外食産業で広く使われています。
- 食感・味:赤身が強く、しっかりとした噛み応え。さっぱりした風味が特徴。
- 用途:牛丼、ステーキ、焼肉、シチュー。
アメリカ合衆国
穀物肥育(グレインフェッド)で育てられ、脂の甘さ・霜降りがしっかり出ます。
冷蔵・冷凍どちらも豊富で、柔らかさが魅力。
- 食感・味:柔らかく、コクのある旨味。日本の高級牛肉に近い味わい。
- 用途:ステーキ、ローストビーフ、焼肉、しゃぶしゃぶ。
ニュージーランド
オーストラリア同様、自然放牧中心のグラスフェッド。
持続可能な畜産が売りで、赤身主体。
- 食感・味:しっかりとした肉質で、噛むほど旨味が出る。やや淡白な風味。
- 用途:ステーキ、煮込み料理、ハンバーグ。
メキシコ
日本市場ではまだ少数派ですが、比較的安価な牛肉として、加工用(ひき肉など)に使われるケースが増えています。
- 食感・味:赤身中心で、脂は控えめ。コスパ重視の味わい。
- 用途:タコス、煮込み料理、加工品。
肉の特徴がわかれば、買いやすい
豚・鶏・牛それぞれに産地の特色があり、価格だけでなく「脂の質感」「赤身の比率」「用途」にも違いがあります。
節約志向の場合はブラジル産鶏肉やアメリカ産豚肉、オーストラリア産牛肉などが特にコストパフォーマンスが高くおすすめです。
スーパーで見かける安い肉は安全?
安価な外国産の肉は「本当に大丈夫?」と不安に思う方も少なくありません。
しかし、日本に流通している肉は、厳しい基準と検査をクリアしたものだけが店頭に並んでおり、基本的には安心して食べることができます。
まず、日本は世界でもトップレベルの食品安全基準を持つ国のひとつです。
肉類の輸入においても、厚生労働省や農林水産省が管理し、次のような規制が設けられています。
- 検疫・衛生検査:輸入時に細菌検査、残留農薬・抗生物質の検査などを実施。規定値を超えるものは輸入できません。
- 輸出国の認定制度:日本に輸出できる国や施設は、日本の基準を満たした上で認定されており、衛生管理が徹底されています。
- トレーサビリティの強化:輸入時から流通・加工まで追跡が可能なシステムがあり、問題発生時にはすぐに回収・調査が行われる体制です。
特に、ブラジル産鶏肉やアメリカ産豚肉・牛肉は、日本市場向けに高い衛生基準を守ることが義務付けられており、品質管理が徹底されています。
タイなどは、日本基準を意識して「日本専用ライン」で加工するケースも多く、信頼性が高いです。
とはいえ、注意したいポイントもあります。
例えば、
- 冷凍品は解凍・再冷凍を繰り返すと品質が劣化するため、パッケージの状態や保存方法を確認することが重要です。
- 輸入時の冷凍流通が主なので、鮮度重視の場合は国産を選ぶのも一つの選択肢です。
まとめると、価格が安いからといって安全性が低いわけではなく、むしろ厳重な検査体制のもとで流通していると言えます。
日常の買い物では、産地・品質表示・保存状態を確認し、信頼できる店舗で購入することが安心材料になります。
安さの背景を知れば、もっと安心して買える
外国産の肉が安いのは、「品質が劣るから」ではなく、労働力・飼料コスト・土地の広さ、大規模経営など、経済的な条件が大きく関わっていることがわかります。
さらに、日本は世界でも屈指の食品安全基準を持ち、輸入時の厳しい検査体制が整備されているため、スーパーで販売される肉は安心して購入できます。
もちろん、用途や味の好みに応じて国産と外国産をうまく使い分けるのも賢い選択です。
賢く選んで、家計にも優しいお肉ライフを楽しみましょう!
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