在宅ワークや副業、趣味での動画編集など、自宅で長時間PCを使う人にとって「電気代」は見逃せないコストのひとつです。
特に、スペックの高いパソコンは消費電力も大きく、1日数時間の使用でも積み重なると電気料金に大きな差が生まれます。
この記事では、動画編集にも使えるハイスペックPCを使った場合の月間電気代を具体的にシミュレーションし、節約の観点からも比較検討してみます。
もくじ
動画編集に使えるデスクトップPCの消費電力と電気代
まずは、デスクトップ型のハイスペックPCを例にとり、1日10時間使用した場合の電力と電気代を見てみましょう。
- 想定スペック:Core i7/i9、RTX 3060〜4070、メモリ32GB、SSD1TB
- 平均消費電力:300W(高負荷時400W超の場合も)
- 使用時間:1日10時間 × 30日 = 300時間
- 月間消費電力量:0.3kW × 300時間 = 90kWh
- 電気料金:90kWh × 27円/kWh = 約2,430円
動画編集に使えるデスクトップPCの消費電力と電気代
動画編集に適したハイスペックなデスクトップPCは、快適な作業環境を実現できる反面、電力消費が非常に高いという一面も持っています。
このクラスのPCに求められる基本スペックは、Core i7やRyzen 7以上の高性能なCPU、NVIDIA RTX 3060〜4070クラスの専用GPU(グラフィックボード)、大容量のメモリ(32GB以上)、高速かつ大容量のSSDなどです。
これらのパーツはそれぞれが高性能であるぶん、消費電力もそれなりに大きく、PC本体だけでも通常時で200W前後、動画編集や書き出しといった高負荷作業中には300〜400W程度、場合によっては最大500W近くに達することもあります。
今回の試算では、平均的な使用を前提にして、PC本体の平均消費電力を300W(0.3kW)と仮定しました。
さらに、1日あたりの作業時間を10時間、月間使用日数を30日とすると、合計の稼働時間は300時間に上ります。
この条件下での消費電力量は、
「0.3kW × 300時間 = 90kWh」となります。
次に、電気代を算出します。日本国内の一般的な電力料金は1kWhあたり約27円が目安です。これに基づいて計算すると、「90kWh × 27円 = 2,430円」となり、月間で約2,500円近い電気代がかかることになります。
しかし、実際にはこれだけでは済みません。モニターや外付けHDD、USBハブ、オーディオ機器、照明など、周辺機器も同時に使用するケースが多いため、これらの消費電力を加味すると、システム全体での消費電力は350W〜400W程度にまで上昇します。
仮に350W(0.35kW)で再計算すると、「0.35kW × 300時間 = 105kWh」、つまり「105kWh × 27円 = 約2,835円」となり、月間の電気代は約2,800円を超える見込みです。
さらに、最新のGPUや大型の高解像度モニターを複数台使用している場合は、消費電力がさらに跳ね上がり、400W以上、月間電気代も3,000円〜3,200円に達するケースも珍しくありません。
このように、動画編集を前提としたデスクトップPCは、性能と引き換えに常時大きな電力を消費するため、在宅ワークや副業、クリエイティブ活動などで毎日長時間使用するユーザーにとっては、電気代が固定費として無視できない負担になり得るのです。
一見すると目立ちにくいPCの電気代ですが、こうしたハイスペック機の使用実態を可視化することで、自分にとって本当に必要なパフォーマンスと、ランニングコストのバランスを見直すきっかけにもなります。
ハイスペックなノートPCの消費電力と電気代
次に、動画編集もこなせるハイスペックなノートパソコンの場合を見てみます。
- 想定スペック:Core i7/i9、RTX 3050/4060搭載、メモリ16〜32GB、SSD512GB〜1TB
- 平均消費電力:80W(高負荷時150W程度)
- 使用時間:1日10時間 × 30日 = 300時間
- 月間消費電力量:0.08kW × 300時間 = 24kWh
- 電気料金:24kWh × 27円/kWh = 約648円
ハイスペックなノートPCの消費電力と電気代
近年では、ノートパソコンの性能も大きく進化し、デスクトップに匹敵する処理能力を備えたハイスペックノートPCも数多く登場しています。
特に、動画編集や3Dモデリング、ゲーム配信などにも対応できるノートPCは、クリエイターや副業ユーザーにも人気です。
では、こうした高性能ノートPCは、どの程度の電力を消費し、電気代にはどのように影響するのでしょうか。
まず前提として、ノートPCは「省電力設計」がされているため、同じ性能帯のデスクトップPCと比較すると、電力消費はかなり抑えられています。
ハイスペックモデルであっても、通常使用時には30〜60W程度、高負荷な動画編集作業中などでも100〜150W程度が一般的です。
ここでは、平均的な作業内容を想定し、平均消費電力を80W(0.08kW)として計算を行います。
また、1日の使用時間を10時間、月に30日使用する場合、総使用時間は300時間となります。
この場合の月間消費電力量は、「0.08kW × 300時間 = 24kWh」です。
日本における電気料金の目安である1kWhあたり27円を用いると、「24kWh × 27円 = 648円」となります。つまり、ハイスペックノートPCを1日10時間使った場合でも、月間の電気代はわずか650円前後で済む計算です。
これは、同じ用途で使用するハイスペックなデスクトップPCと比較すると、およそ1/4〜1/5の電気代に抑えられることになります。
高性能でありながら、消費電力が少ないというノートPCの設計思想が、このような結果に直結しているのです。
さらに、ノートPCはディスプレイ・キーボード・スピーカーなどが一体化しているため、周辺機器による追加の電力消費がほとんどありません。
これもまた、トータルでの電力コストを大幅に下げる要因となります。
ただし注意したいのは、「バッテリー運用で節電できる」と思い込まないことです。
ノートPCをACアダプタにつないだ状態で使うのが一般的なため、実際には常時コンセントから電力を供給しているのと同じ状況になります。
また、ゲーミングノートなどは冷却ファンが大きく、負荷に応じて電力消費が急増することもあるため、使用状況によっては消費電力が100Wを超える時間帯が長くなることもあります。
とはいえ、全体として見れば、ハイスペックノートPCはデスクトップPCに比べて圧倒的に電気代が安く、在宅ワークや副業で毎日長時間使うユーザーにとっては、年間を通して数千〜1万円以上の節約効果が見込めることとなります。
パフォーマンスと消費電力のバランスを重視したい方にとって、ハイスペックなノートPCは「実用性」と「経済性」を両立する優れた選択肢といえるでしょう。
電力と電気代の比較表(デスクトップとノートPC)
ここまでの解説をもとに、ハイスペックなデスクトップPCとノートPCの電力使用量および月間電気代を一覧で比較してみましょう。
性能面ではどちらも動画編集などの高負荷作業に対応できますが、消費電力とコスト面では明確な違いが見えてきます。
表を確認することで、自分の使い方に合ったPC選びや節約方法の参考になるはずです。
項目 | ハイスペックノートPC | ハイスペックデスクトップPC |
---|---|---|
平均消費電力 | 約80W(0.08kW) | 約300〜400W(0.3〜0.4kW) |
1日の使用時間 | 10時間 | 10時間 |
月間使用時間 | 300時間 | 300時間 |
月間消費電力量 | 約24kWh | 約90〜120kWh |
電気代(月間) | 約648円 | 約2,430〜3,240円 |
電気代を抑えたい人へのアドバイス
在宅作業で長時間パソコンを使用する人にとって、数千円の電気代差は年間で見るとかなり大きな出費になります。
以下のような工夫で電力使用量を抑えることができます。
- ノートPCに切り替える:可能な作業はノートPCで済ませるだけで大幅な節約に。
- アイドル時間を減らす:席を離れる際はスリープモードを活用。
- モニターや周辺機器も見直す:高輝度・大型ディスプレイはそれだけで電力を多く使います。
- 電力プランの見直し:電力自由化により、お得なプランがある場合もあります。
快適さと節約のバランスを意識しよう
ハイスペックPCは快適な作業環境を提供してくれる一方で、電気代がかかりやすい側面もあります。
とくに動画編集など高負荷作業を毎日行う人にとっては、ノートPCへの移行や稼働時間の見直しが、月々の電気代節約に直結します。
家庭内の“見えにくい固定費”として見過ごされがちな電力消費ですが、これを機に一度、見直してみてはいかがでしょうか。